賃料支払催告書

賃料支払催告書とは何ですか？

賃料支払催告書は、不動産の賃借人が賃料の支払を怠ったときに、賃貸人が作成して賃借人に交付する書面です。賃借人に対して賃料支払が遅滞していることを知らせ、迅速な支払を促すことが目的です。

「賃料支払催告書」は、「支払催告書」や「債務履行催告書」とどう違いますか？

いずれの書面も、契約の相手方が債務の履行を遅滞したときに、迅速な履行を促すための書面です。そのなかでも「賃料支払催告書」は、不動産の賃貸人が賃借人に対して賃料支払を催告する場合に特化した書面です。

「支払催告書」は、様々な契約に使用できますが、相手方が金銭の支払を遅延した場合に使用する書面です。他方、「債務履行催告書」は、相手方の債務が金銭支払ではない場合に使用する書面です。金銭支払ではない場合とは、例えば、商品の引渡が遅延している場合、受け取った商品が故障していた場合、実施した工事に欠陥がある場合などがあります。

「賃料支払催告書」は、「立退き通知書」とどう違いますか？

いずれも、賃借人が賃料の支払を怠ったときに、賃貸人が賃借人に交付する書面です。「賃料支払催告書」は、賃貸借を継続するために使用する書面であるのに対して、「立退き通知書」は賃貸借を終了させるために使用する書面です。

賃貸借を継続するか終了させるかは、賃貸人が選択して使い分けることになります。ただし、不動産賃貸借の場合、賃料の支払が遅延したからといって、直ちに賃貸借を終了させることができるわけではありません。賃借人が遅延を繰り返したり、賃貸人が催告したにも関わらずまだ支払わない場合など、信頼関係を損なうほどに重大な支払遅延をしたときに初めて、賃貸借を終了させることができます。

よって、初回の支払遅延の場合は、まずは「賃料支払催告書」を使用することになります。それでも支払わない場合や、支払遅延が繰り返されている場合に、「立退き通知書」を使用することになります。

賃料支払催告書は必ず作成しなければなりませんか？

いいえ、賃料支払催告は、口頭で行っても有効です。口頭催告だけで賃借人が任意に支払ってくれれば、それで問題は解決します。賃借人が支払日を見落としていただけの場合などは、口頭通知で足りる場合が多いでしょう。

しかし、催告をしても賃借人が任意に支払わないときは、催告をしたにも関わらず支払がない事実を、賃貸人が証拠を示して証明する必要があります。口頭で催告しただけでは、これを証明することが難しい場合があります。よって、証拠確保の観点からは、賃料支払催告書を使用して書面で催告することが重要です。

賃料支払催告書の作成者となるのは誰ですか？

賃料支払催告書の作成者となるのは不動産の賃貸人です。法人か個人かを問いません。不動産の賃貸人とは、不動産の所有者が賃貸人となっている場合だけでなく、不動産の賃借人がさらに第三者に転貸する場合（サブリース）の転貸人も含みます。

賃料支払催告書を作成したらどうすれば良いですか？

賃料支払催告書は、1部プリントアウトして賃貸人が署名押印し、賃借人に交付してください。賃貸借契約書に特段の定めがない限り、交付方法に制限はありませんので、直接交付、郵送、直接交付、電子メール送信など、任意の方法で交付することができます。

賃借人に届いたことを確実に証拠化するためには、配達証明付き内容証明郵便を利用する、または直接交付して写しに受領サインをもらう、等の方法が有効です。

賃料支払催告書に記載しなければならない事項は何ですか？

• 賃貸物件の特定：どの物件の賃料の催告であるかを明確にするため、賃貸物件を特定するための情報を記載する必要があります。
• 請求金額：賃借人が支払うべき賃料額を正確に計算して記載する必要があります。
• 権利留保文言：賃料支払催告書が、賃借人に対する期限の猶予や一部免除など賃貸人に不利な解釈がなされてはならない旨を示す注意書を記載することも重要です。

賃料支払催告書に適用される法律は何ですか？

賃料支払催告書には、民法の債権債務に関する規定及び賃貸借に関する規定（601条～622条の2）が適用されます。

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