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競業避止義務誓約書は、企業が、その従業員または取締役に対して、業務中に知った企業の秘密情報を利用して企業と競業する行為を行ってはならない旨を約束させる書面です。競業行為とは、ある事業者と競業する事業を自ら営んだり、ある事業者の競業相手の利益となる行為をすることです。競業行為を行ってはらならない義務を「競業避止義務」といいます。
競業避止義務誓約書と秘密保持誓約書は、いずれも企業の営業上・技術上の秘密情報に触れる可能性がある従業員/取締役に提出してもらうべき書面です。
秘密保持誓約書は、企業の秘密情報を知った従業員/取締役に対して、その情報を第三者に流出させてはならない義務を負わせる書面です。秘密保持誓約書は、従業員/取締役が秘密情報に触れる際は、原則として提出してもらうべき書面といえます。
競業避止義務誓約書は、企業の秘密情報を知った従業員/取締役に対して、その情報を利用して企業と競業する行為を行ってはならない義務を負わせる書面です。情報を知った従業員/取締役は、その情報を第三者に流出させなくても、自らその情報を利用して企業と競業する事業を行うことができます。これを避けるためには、秘密保持義務に加えて競業避止義務も負わせる必要があります。競業避止義務は、一定期間にわたり従業員/取締役の職業活動・営業活動を制約することになるので、秘密保持義務よりも重い義務であるといえます。そのため、従業員/取締役が秘密情報に触れる場合でも、競業避止義務まで負わせるかどうかは、開示する情報の性質や従業員/取締役の地位などを考慮して事案ごとに判断する必要があります。
形式的な違いは、競業避止義務誓約書は一方当事者のみが署名して企業に差し入れる誓約書の体裁であるのに対して、競業避止義務契約書は両当事者が署名する契約書の体裁であるという点です。両当事者が相互に競業避止義務を負う場合は競業避止義務契約書とする必要がありますが、一方当事者のみが競業避止義務を負う場合は、いずれの形式としても問題ありません。
ただし実務上は、企業間で競業避止義務を負わせる場合は競業避止義務契約書を使用することが一般的であり、従業員や役員が会社に対して競業避止義務を負う場合は競業避止義務誓約書を使用することが一般的です。
いいえ、口頭で競業避止を合意しただけでも、競業避止義務は発生し得ます。しかし、合意があったかどうか、あったとしてもどの範囲の情報についてどれくらいの期間競業避止義務を負うのか、といった点が明確でないと、いざ競業行為を行ったときに責任追及をすることが極めて難しくなります。よって、実務的には、口頭で競業避止の合意をしても実効性がないため、契約書という形で作成する必要があります。
競業避止義務は、従業員/取締役が業務遂行をするうえで知った企業の技術情報、ノウハウ、顧客情報、取引先情報などを利用して、企業と競業する行為をしてはならない義務です。具体的には下記の義務が含まれます。
競業避止義務は、従業員/取締役の職業・営業の自由を強く制限するため、誓約書に定める競業避止義務の範囲は、合理的範囲に限定する必要があります。競業避止義務の範囲が広すぎると、誓約書が無効となることもあります。
競業避止義務の範囲を制限するためには、その有効期間と適用地域を限定する必要があります。また、長めの期間や広めの適用地域を定める場合は、企業から従業員/取締役に対して金銭を交付する等の代償措置を講じることが必要になります。
上限期間や下限期間が法定されているわけではありませんので、適切な期間は事案に応じて異なります。
例えば、競業避止義務を負う者が一般従業員である場合、退職後長期間にわたり競業避止義務を負わされると収入を得ることが困難になるため、長くても1年程度とするケースが多いでしょう。他方、高度な専門知識を有する取締役の場合、競業行為をされた場合の企業への悪影響が大きいため、2~3年という長期に設定することもありますが、競業避止義務の期間を長くすればするほど代償措置を講じる必要性が高くなります。
競業避止義務誓約書は、1部プリントアウトして従業員/取締役が署名押印し、原本を企業に提出してください。企業は原本を保管して、写し1部を控えとして従業員/取締役に返還してください。
競業避止義務誓約書は、作成するタイミングが重要です。競業避止義務誓約書は、従業員/取締役が退職するタイミングで作成されることもありますが、既に秘密情報を知って退職しようとするときに競業避止義務誓約書の提出を要求しても、その従業員/取締役はもはや提出に応じてくれないかもしれません。よって、秘密保持誓約書は、従業員/取締役が入社するタイミング、または在職中に秘密情報に触れる前のタイミングで作成することが望ましいでしょう。
競業避止義務誓約書は、印紙税の課税対象となりませんので、印紙税の支払は不要です。
競業避止義務は、原則として誓約書で定めた期間が満了するまで継続します。
ただし、誓約書で定めた期間が長すぎる場合、合理的期間を経過した後は、競業避止義務が効力を失う場合があります。
また、企業が従業員/取締役に対して、競業避止義務を課す代償として金銭を交付をする等の代償措置を約束したにも関わらず、企業が代償措置の履行を怠った場合は、従業員/取締役は競業避止義務を解除できる場合があります。
競業避止義務誓約書も契約の一種なので、民法の契約一般に関するルールが適用されます。また、取締役が負う競業避止義務は会社法にも規定があります。
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競業避止義務誓約書 - テンプレート、WordとPDF形式で記入するサンプル文書
国: 日本