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株式譲渡契約書

最新の修正 最新の修正 2024年08月09日
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最新の修正最新の修正: 2024年08月09日

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株式譲渡契約書とは何ですか?

株式譲渡契約は、株式会社の株主が、保有している株式を第三者に譲渡して、買主が代金を支払う契約です。譲渡された株式は売主から買主に移転し、買主は新たな株主となります。

株主は会社の所有者ですので、譲渡株式の発行会社(対象会社)の株式を100%またはそれに近い割合で保有している株主が、その保有株式を全部譲渡する場合、売主は買主に対してその会社自体を事業とともに譲渡することを意味します。


株式の譲渡にはどのような種類がありますか?

株式を譲渡する方法には、相対取引、市場取引、公開買付の3種類があります。

相対取引は、株式を売りたい者と買いたい者が株式譲渡契約を締結して株式を譲渡する形です。非上場会社の株式を譲渡する場合は、ほとんどが相対取引によります。

市場取引は、上場企業の株式を株式市場(東京証券取引所、名古屋証券取引所など)で売買する形です。不特定多数の売却希望者と不特定多数の買取希望者の間で、希望価格が合致すれば即座に売買が成立しますので、株式譲渡契約書の作成は必要ありません。

公開買付は、ある会社の株式を大量に買い付けようとする者が、購入希望の株式数、購入希望価格、及び購入受付期間をあらかじめ公開して、応募してきた売却希望株主の株式を買い取る方法です。主に上場企業の株式を大量に購入する場合に利用される方法で、公開買付が成立すれば買付者が株式を取得しますので、株式譲渡契約書を作成する必要はありません。

以上のとおりですので、株式譲渡契約書は、主に、非上場企業の株式を相対取引で譲渡する場合に使用される契約書です。


株式譲渡と事業譲渡はどう違うのですか?

ある会社の株式を100%またはそれに近い割合で保有している株主が、その株式を全部譲渡することは、会社自体をその事業ごと買主に移転することを意味します。事業を移転させる方法としては、株式譲渡の他に、事業譲渡があります。株式会社の事業を移転させようとする場合、いずれの方法を採るかを検討する必要があります。

事業譲渡と株式譲渡では、契約当事者及び譲渡目的物が異なります。株式譲渡の場合、会社の株主が売主となり、買主はその会社の新たな株主となります。他方、事業譲渡の場合、事業を行っている会社自身が売主となり、買主はその事業の新たな事業主となります。また、株式譲渡の場合は会社の株式を譲渡しますので、買主はいわば会社ごと買い取る形となるのに対して、事業譲渡の場合は事業を構成する集合的な資産を譲渡することになります。

事業譲渡の場合、その事業の運営主体が売主から買主に変更になるため、一般的に手続が煩雑となります。譲渡資産に不動産や車両等の登記・登録が必要な資産が含まれる場合は登記・登録の移転が必要となりますし、取引先との契約を買主に承継する場合は取引先から承諾を得て契約当事者を変更する必要があります。また、事業に従事する労働者を売主から買主へ移籍させる場合は、売主が各労働者から同意を得て売主との雇用契約を終了させ、買主と新たな雇用契約を締結させる必要があります。さらに、事業に許認可が必要な場合は、買主が許認可を取得しなければなりません。

これに対して、株式譲渡の場合は、事業の主体は対象会社のまま変わりませんので、資産の名義変更や、契約当事者の変更や、労働者の移籍などの手続をとる必要はありません。ただし、会社ごと買い取るということは、買主にとって不要な資産や、会社の債務も含めて、全てまとめて引き受けることになります。買った後になって帳簿に記載されていない債務が発覚するといったリスクもあります。


株式譲渡契約書は必ず作成しなければなりませんか?

いいえ、法律上は、売主と買主が口頭で合意すれば、株式譲渡契約は成立し得ます。しかし、実務上は、株式譲渡を無事に完結させるため、ほとんどのケースで契約書が作成されています。

株式譲渡は、単に口頭で合意して代金を支払うだけでは完結しません。事案に応じて、対象会社から譲渡承認を得る、対象会社が株券発行会社である場合は売主から買主へ株券を交付する、売主の手元に株券がな場合は対象会社に株券の発行を請求する、譲渡後は対象会社に対して株主名簿書換請求をする等、手続や要件が必要となります。

株式譲渡を無事完結させるためには、契約書を作成して、各当事者が履行すべき要件や手続を明記するとともに、譲渡がうまくいかなかったときに契約を解除できる等の措置を定めることが重要です。


株式譲渡契約書に記載しなければならない事項は何ですか?

  • 譲渡日:株式譲渡をする際は、対象会社の財務・経営状態の確認や、関連する手続(対象会社による株式譲渡の承認等)が必要になりますので、契約を締結してすぐに譲渡を完了させるのではなく、契約締結日から一定期間先の日を譲渡日として指定し、譲渡日までに必要な準備を行う流れとすることが一般的です。
  • 譲渡株式:対象会社の名称、及び譲渡する株式の種類を数を記載して、譲渡株式を特定してください。
  • 譲渡代金:譲渡代金の金額及び支払方法(一括払いか分割払いか等)を記入してください。
  • 株券または株主名簿書換請求書の交付:対象会社が株券を発行している場合、株式の譲渡は株券の交付によって効力を生じます。よって、株式譲渡実行時に売主は買主に対して株券を交付する必要があります。買主は、株券を対象会社に提示することで、株主名簿書換請求をすることができます。他方、対象会社が株券不発行会社である場合は、売主は買主に対して、売主が記名押印した株主名簿書換請求書を交付する必要があります。買主はこれを使用して、対象会社に対して株主名簿書換請求します。


株式譲渡を完結させるまでに実施すべきプロセスは何ですか?

一般的に、株式譲渡を完結させるためには下記のプロセスが必要となります。これは、株式譲渡契約を締結する前に実施することもありますし、契約締結後、譲渡実行日までの期間に実施することもあります。

  • 秘密保持契約の締結:株式譲渡の交渉段階においては、株式譲渡を実施するかどうか、実施する場合は価格をどうするか、等を判断するため、買主が対象会社の資産・財務・経営の状況を精査する必要があります。そのため、売主は対象会社の株主として、対象会社の営業上・技術上の秘密情報を買主に開示することがあります。このとき、買主に開示された情報が第三者へ漏えいしないよう、まずは売主と買主が秘密保持契約を締結して、買主に秘密保持義務を負わせる場合があります。
  • デューデリジェンス:デューデリジェンス(DD)とは、買主が対象会社の事業を調査することを言います。買主は、株式譲渡契約を締結する前に、その対象会社が買い取るに値するものかどうか、買い取る場合の適正金額はどの程度か、買い取る場合はどのようなリスクが想定されるか、といった点を判断する必要があります。そのため、買主は、売主から事業に関する資料(財務諸表、資産リスト、従業員リスト、負債リスト、関連する契約書の写しなど)を開示してもらい、それを慎重に調査して判断します。この調査作業のことをデューデリジェンスと呼び、買主が自ら実施することもありますし、弁護士・会計士・税理士などの外部専門家に依頼して実施することもあります。
  • 売主が株主であることの確認:買主としては、売主が本当に対象会社の現在の株主であるかどうかを確認する必要があります。そのことが明らかである場合は問題ありませんが、そうでない場合は、売主の株券を確認するか、対象会社の株主名簿を確認して、売主が現在の真の株主であることを確認してください。
  • 株主間契約の確認:売主となる株主が他の株主と株主間契約を締結している場合があります。株主間契約とは、ある会社の複数の株主同士で締結する契約で、各株主がその保有株式を売却する際の制限等が規定されています。例えば、株式を売却する際は他の株主の同意を得なければならない等の制限が書かれている場合があります。売主が株主間契約の当事者となっている場合は、株主間契約の内容を確認して、必要な対応をする必要があります。
  • 対象会社の譲渡承認:株式会社の多くは、その定款に株式の譲渡制限を規定しています。譲渡制限とは、株式を譲渡するためには対象会社の承認を得なければならない旨の規定です。よって、対象会社の定款を確認し、株式譲渡制限が付されている場合は、譲渡実行日までに譲渡承認を得る必要があります。


株式譲渡契約の当事者となるのは誰ですか?

現在の株主が売主となり、新たに株主となる者が買主となります。いずれも、法人か個人かを問いません。売主が現在の株主であることを確認するためには、売主が保有している株券を確認する方法、または対象会社が管理している株主名簿を確認する方法があります。


株式譲渡契約はどのように締結すればよいですか?

株式譲渡契約書は、2部プリントアウトして、売主と買主がそれぞれ署名押印し、各自1部ずつ保管してください。プリントアウトした書面が複数枚にわたる場合は、書面の連続性を示すために各見開きごとに(製本する場合は製本部分に)割印をするようにしてください。

なお、株式譲渡契約書は、プリントアウトせずに、電子契約サービスを利用して締結することもできます。


株式譲渡契約書には印紙税がかかりますか?

株式譲渡契約書は課税文書に該当しませんので、印紙税は不要です。


株式譲渡契約を締結した後に実施すべき手続は何ですか?

株式譲渡の実行により、買主が対象会社の新たな株主となります。対象会社は、株主総会通知を発送したり利益配当をしたりするため、現在の株主が誰であるかを把握しておく必要があります。よって、株式譲渡が実行されたら、買主は速やかに対象会社に対して譲渡があった旨を通知し、株主名簿の名義を売主から買主へ変更するよう請求する必要があります。

対象会社が株券発行会社である場合は、買主は売主から受け取った株券を提示することで、単独で株主名簿書換請求をすることができます。

対象会社が株券不発行会社である場合は、売主と買主が共同で株主名簿書換請求をする必要がありますので、売主が署名押印した株主名簿書換請求書を買主に交付して、買主はこれを使用して対象会社に株主名簿書換請求をします。


株式譲渡契約にはどのような法律が適用されますか?

株式譲渡契約も売買契約の一種ですので、民法の売買に関する規定(555条~585条)が適用されます。また、株式を譲渡するための手続は会社法に規定されています。


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